王子の魂 ―ワタシの想い―


「んじゃ、スタート!」

放課後、琴美と菜子は約束どおり私の部屋にやって来た。

リュウはどうしているかというと・・・

部屋の隅のベッドの上でつまんなそうにひざを抱えて座っていた。
時々、私たちを見てはクスクス笑っていた。
先程、「出かけてほしい」と言ったら
「人にも見えない触れないの状況で出かけたってつまんねえよ。」
と言って、私が何を言っても出かけてくれなかった。

菜子がライブDVDを私のDVDプレイヤーにいれ、内容が始まった。

すると

「お」

リュウがわずかに声をあげ、テレビが見えるように私の隣に座った。

やはり、琴美と菜子にはリュウは見えていないようで、リュウが近くを通っても声をあげても、何も気づかずただテレビ画面に集中していた。

画面の中のリュウはこんなに近くにいるというのに・・・。

リュウが聞いてきた。

「これ、去年の?」
「うん。」
「懐かしい~。」

リュウも私の隣に並んでライブDVDを見た。

菜子が言った。

「・・・優子なんか言った?」
「リュウが去年・・・、あ、なんでもないっ!」

それを聞いたリュウが隣で吹き出して笑っている。

「他の人の前で、俺としゃべるとオマエただの痛い人だぞ!」
「・・・」

リュウの言うとおりなので私はリュウに言い返すこともできなかった。