王子の魂 ―ワタシの想い―

次の日の朝、私はあの日のように琴美と菜子と教室で話していた。

琴美が言った。

「リュウ、どうして意識不明なんかになっちゃったんだろうね。」

その時、私は上の空で、リュウの・・・リュウの「魂」のことを考えていた。
リュウはこれからどうすればいいのだろう?
体に戻らなければならないのだろうな・・・。

「ふーん・・・。」

もちろん、上の空状態の私には琴美の声は届かず、私は適当な返事で受け流す。

「ねえ、今日さ、優子の家行ってもいい?」

菜子が言った。

「気晴らしに『CROWN』のライブDVD見ようよ。」
「いいね!私も行く!」

琴美もなにやら菜子の話に乗る。

なんの話か私はさっぱり分からない。

そんなことよりも
リュウはなぜ私の部屋に・・・?
なんで、リュウは幽体離脱なんてしちゃったんだろう?
魂相手じゃ妄想を叶えることだってできないよ・・・。

「ちょっと、優子聞いてる?」
「あー、うん、いいよー。」

私は話の流れに合わせて適当な返事をする。

「ホント?じゃあ、私ライブDVD持って行くからね。約束だよ。」
「・・・うん。」

・・・って

「ムリムリムリ!」
「「はあ!?」」

家にはリュウが、リュウの魂がいるんだよ?
例え、2人には見えなくても私はどんな顔でいればいいのよ!!

「さっきまでいいって言ってたじゃん。」
「そうだよー。」

2人が不満を言う。

「とにかくダメなの!!」
「「なんで??」」

2人の声が思わずハモる。

「だって、リュウの魂が」
「「リュウの魂!?」」

「優子、ショックで頭おかしくなったんじゃないの?」
「そうだよ。その確認のためにも今日は優子の家行くからね!」

えー・・・!?

どうしよう・・・。
リュウには出かけててもらおうかな・・・?

とにかく、リュウのことはなんとか誤魔化そう!


ちなみに、2人がなぜこんなに私の家に来たがるかというと、それは確認のためでもなんでもなく、部屋にテレビがあるのが3人のうちで私だけだからである・・・。