「和祇、後からならもっと

良く見えるぞ?」


「ええ・・・?」



シートベルトを外した彼が車を

降り、助手席のドアを開けた。

困惑する

あたしのシートベルトを外し


「ほら」


と、腕を持ち上げようとする。


「来いよ」


その強い力加減に

初めて・・脅えた。


見上げたその顔は月明かりを

背に、薄く笑っている・・!



「やっぱりいい・・、

やめとく。あッ!」


「何言ってる? 

折角来たンじゃないか。」


「って! 拉致ったんやろ!

いややっ・・!」



抵抗しながらも車から

引き摺り出されたあたしは、

力づくで

後部シートへと放り込まれる。



「む、ぐ・・っ、いやっ・・!」



起き上がろうとすると

大きな掌で口ごと押さえ込まれ、

勢い良くドアを閉められたのだ。


比較的大きな

高級車と云っても限度がある。