Quiet man

「・・ちんまりした部屋だネ。」



車二台で彼女のマンションへ。

部屋に入った

小田の開口一番がコレだ。



「せめて

"こじんまり"って云うてネ。」


「ヨウちゃん、云い過ぎだ。」



見渡せば荷物は殆ど服。

大阪から送られて来たまんま、

ダンボールに

詰められていたモノもある。


「じゃあ取り合えず

要るものだけ・・。」



分担してクローゼットの中身、

そして

タンスの中身を箱詰めして行く。



「ナギ? もう箱ない・・よ。」



姿見の前に立つ、

白衣の女に唖然とした。


寝室を纏めていた彼女が

見つけたらしい。




「・・昔の?」


「うん、紛れてた。

サイズちょいユルイ。

もう要らないから捨てよ。」


神足の複雑な顔に

彼女が笑って云った。彼は思う、

ヤツは・・

あの姿のナギに惚れたのかと。



「じゃ、

下のコンビニで箱貰ってくる。」


「ウン、ごめんねー。」


下の駐車場を抜けて

2人でコンビニへ向う。

小田は2人っきりになると、


「ひとつ貸しね」


笑って神足を肘で突っついた。

そう云えば、

あのママにもそう云われてる。


「おー、新型のクラウンだ。」

「これ?」


通りすがりに見た、白い新車。

妙なのは、

一時的なつもりで停めてるのか

ここは彼女の駐車スペースだ。



「ナギちゃーん、 

これだけあったら足りるぅ?」


ダンボールを抱えて部屋に

戻ると小田が声を掛けた。



「・・・?」


「奥だから

聞こえないんじゃない?」


引越しの時にありがちな、

今度は昔のアルバムでも

夢中で見てるんじゃないか?


引っ越す気あんのかね・・。

あ・・もしかして

乗り気じゃないのかな?

とか、思いながら。