そしてその男の声に

神足はハッと我にかえる。



「・・じゃ、俺はここで。」



後は勝手にやってくれと

云わんばかりに

彼はその2人に背中を向け、

パーキングへと戻るのだ。



( アイツが元・ダンナ・・。)



車に乗り込むと

煙草を1本取り出し、

窓を開けて

道路の手前で火を着ける。



「・・・・。」



やるせない・・。

そして何だか

シラケている自分に気が付いた。



(  まさか朝から、いや、

俺が帰った後から? このホテルで

ずっと・・ヤツと一緒だったのか? )



あのキスシーンを

思い出す事さえ拒否したいが、

それは

とっくに目に焼き付いていて。


まだ・・見た事がなかった

ナギの女の顔、あれは・・


恋をしている女の顔だった。




( もう・・謝る必要もないな )