よいしょ、と

立ち上がろうとするので

慌てて手を貸してやる。



「手紙もポストに入れたし

一旦、ホテルに戻ります。

・・それじゃ。」


「・・俺、送ろうか?」



ちょっと妊婦さんには

車の高さが不安だったが

彼女も余程辛かったのだろう。


手を貸してやると

素直に車に乗り込んだ。



「この辺は

タクシーも呼ばなきゃ来ない。」

「すいません・・

彼女のお友達?」


「うん、まあね。

貴方はナギさんの・・?」



彼女は

躊躇いがちにポツリと零した。



「今でも・・、

そうやったらいいんやけど。」



そう云うと

自分のお腹を見下ろし、

寂しげに笑うのだ。



「最近、他の人から貰ったんです。

私、それを見て

どうしていいか・・解らなくて。」



カバンから出した

カワイイ封筒を神足に差し出した。


彼はエンジンを

掛けようとする手を止め

黙ってそれを受け取る。

"どうぞ"と彼女は云った。



「あたしが・・悪いんです。」