Quiet man


"答えになってない"と

突っ込めずにいた。


大阪を離れる時の、

彼女の瞳を思い出す。


定番ではあるが、

その土地を離れるってのは

失恋を癒す良い方法のヒトツだ。



「こんな話、

わざわざ聞きに来たん? 」



1本ちょうだい。

そんなフリで

神足の煙草を指差した。


箱から1本取らせ、

咥えた所で

火を着けてやろうとした。


彼女は目を合わせ、にっと笑う。

筋ばった手から

ライターを取り上げたのだ。



「そんな事したらアカン。」



自分で火を着ける仕草が

昨日今日の

喫煙者でない事が窺える。

その目の伏せ方が・・

いやにセクシーに見えた。



「・・・左利き?」

「モノによって。」



フカシではない、

全く美味そうに煙を吸う。