口笛や、

少女を過ぎた女達の

黄色すぎない掛け声。

それを聞き流しながら

軽くチューニングや

ピックを取り替えていたり。


ここは一番前の列席だけど、

彼からこちら側の顔は

見えているのだろうか?





「・・・サンキュー」




____ アンコールを含め、

たぶん20曲は歌っただろう。

歌い・・、弾き終わった後


"解放"


そんな言葉を連想させる様な

彼のあの"ちょっとイイ顔"が

きっと、あたしでなくても

トキメいたりするのだろう・・。


不思議なのは、特別に

上手い歌を歌う訳じゃないのに・・

彼の歌声はギターと共に

いつまでも震える鼓膜に残った。


"もっと聞きたい"

そう思えるほどだった。


彼、Goddyこと神足は・・

THE FREE COOL、

"伝説のフロントマン"

そう呼ばれる男であった。


間違いはない、

その威風を漂わせる

誰もが認めて当たり前の

そんな

"酔えるステージ"だったから。



惚けている間に彼は消え、

ふわりと照明が戻されても

周りの熱気は直ぐ冷めずにいる。



「ま、ママ・・・?」



ふと見た横のママは

呆けた様な表情でフニャってた。



「抱かれてもいいかも・・。」



そう一言、目をトロンとさせて。


・・・・あっ、そ。