「次、お願いします・・!」

「OK・・、」


・・・俺は彼女の出産後、

久々にジョイント・ライブでの

ステージに立っていた。


サングラスを掛け、

ギターを抱え、いつもの調子で

始めようとしたら。



「Goddy パパ!」

「おめでとう、パパ!」



と、観客席からチラホラ声が。

俺もこういうの勿論初めてだし

つい笑っちまった・・。


「サンキュー・・!」



歌う前から言わせるなよ。

そんな事で

キャー!とか

ワー!とか

云われると・・照れる。

まあいいや、悪くない気分だ。


今頃、

舞台ソデで笑ってる女がいる。

また、惚れさしてやる位の

いいステージにしないと・・な。

俺、一応トリなんだし。


演り始めて思っていたが、何か

確かにファン層に変化があった。



"へえ? 聴くの?"


って、云いたくなる若い連中?

それにアレンジのオファーとか

仕事にも結構変化あったりして。


これって、"嫁効果"?

なんて思ったりして・・。


最後の曲のサビが始まると

観客が沸いた、待っていたのか。


この歌をまさか、ステージで

演る事自体考えてなかった。


ふふ。京都の病院での・・

あの納涼大会だけみたいな。

この曲を歌う度に思い出すんだ。

喧嘩した日やあの日の事を・・。



"超えられないなら

蹴倒してでも進めばいい

先へ行こう___”


そう一度、また思い直して、

彼女に会いに行き・・

あれから暫く経った今も

そう思えるんだ __________


自分が変わらなきゃ、
周りも変わらないってコトを。


こうして歳を重ね・・

より俺は、人間臭くなって行くんだろう。


お前と共に

もっと"イイ皺"を作ろうじゃないか。


彼が育って行くのをゆっくり・・

二人で見守りながらさ。