ほんの一秒の間に、人間、
いろんな事を考えられるもんだ。
そう思ったのは次の瞬間だった。
ビシ! バシ!
「・・・!!!」
俺は仰天して絶句する。
ドクターがいきなり、
取り上げた赤ちゃんを平手打ち
でハタキ始めたのだ・・!
「ォ・・!」
「シッ・・、お静かに!」
文句を云い掛けた俺を制止する
助産婦とその間で。
「嘘・・・ダメやったん?」
不安気にナギが手を握る。
「ナギ・・・・・。」
熱を放出しきった彼女の、
汗まみれの額を撫で上げてやる。
「オギャッ」
「ヨシッ・・!」
「 「 ヘッ!? 」 」
「さ、もう大丈夫ですよ♪
控えめな男の子ですね・・!」
「んぎゃっ・・」
また・・・泣いた!!
声はチイチャイけど・・
確かにまた泣きやがった・・!!
「あッ・・・!」
赤ちゃんを受け取った俺が、
彼女の元へ・・だがナギの体は
大きな痙攣でも起したみたいに
揺れて・・クッシャ、クシャな
顔で泣き出して止まれずにいた。
「おめでとう・・良かったね!」
「~~~・・・。」
ドクターがホッとした笑顔で
ナギにそう云うと、彼女は
コクコクと泣きじゃくりながら
何度も何度も肯いてた・・。
「ほら・・詩音だ。」
「ウン・・・ウ・・~・・」
「よくがんばってくれた・・!」
俺だって・・、
言葉がうまく出て来ないんだ、
ポロポロと泣いちまってて・・。
何か喉の所で詰まっちまってさ。
赤ちゃんは見ている間に
その肌をピンク色に染め、やっと
今思い出したみたいに
泣き出していた・・。
控えめだって・・?
妙なトコ俺に似るんじゃないよ・・!


