「これって・・
 
"おしるし"なんやろか?」



彼女が呆然とトイレから出て

来て間もなく。



「________ アッ、」




ぎゅっとお腹を握り締め、

痛みに呻き始めるのだ・・?



ちょっと待て、陣痛・・?



今はまだ36週目の筈だし

二週間も早いだろう??


そんな馬鹿な・・と思いつつ、

ナギをソファに座らせ、兎に角

病院に電話をした。



「もしもし? あれ・・?」



ナニ動揺してる、落ち着け、俺。

電話番号、押さないとな。



『今はまだ前駆陣痛だと思いま

すよ。痛みの間隔が10分置き位

になったら来て下さいねー。』



・・と、超・軽く云われた。

その間中、背中を摩ってやる事

しか出来ず何とも歯痒いものだ。



「普通さ・・陣痛って夜と

ちゃうん? イテテ・・。」



フーと息を吐き出し、生理痛の

キツイ感じだと彼女は云った。



「今のウチにシャワーとか何か

食べておいた方がいいって。」


「長くなるんやろなー・・。」



苦笑いする彼女、まだ思った

より余裕があって少し安心する。



「緊張する」



お風呂も俺が居る時は必ず一緒

に入り、その髪を洗ってやった。


泡を濯ぎながら思わず漏らした

一言に"あたしも"と返してくる。


スポンジを泡立て、愛おしく

膨らんだ体を丁寧に洗いながら。



「がんばって、傍に居るから。」

「ウン」



キスを交わしても足りはしない。

どうか、

2人が無事であります様に・・。


つうか、

俺の方が恐がっててどうするよ。