「人間、土壇場になれば多分

何でも出来るんじゃない・・?」



そう、俺はこの時の言葉を後々

思い出す事が何度かあった。


正月を過ぎ、バレンタインが

来たのもあっと言う間だった。


俺は彼女の為に作ったあの曲を

シングルカットで出した後、

今は充電期間を取っている。


色々あったせいか、今迄

俺を知らなかった世代の奴らが

ラジオや有線でリクエストして

るらしい。これは予想外の事だ。


そして、その日の朝。

テレビのニュースでは

"桜の開花時期"について流れ出

している、今年は少し早い様だ。


"オッパイが痛い"


近頃になって、そんな事を良く

云うようになった彼女の為?

二人羽織り状態でソファに座り

後からかなりデカくなっていた

胸を揉んでやっていた。


彼女が"痛い"と言うのはあまり

なく、よっぽどなんだと思った。


妊婦は大変だ。腹も胸も大きく

なって、何気に触った肩などは

ガッチガチでさぞ辛いだろうに。



「・・あんまり我慢するな。」

「う・・ん、大丈夫あっ・・」

「何?」

「聞こえた? 今の音・・。」

「いや・・・?」



肩を揉んでる最中、彼女が突然

立ち上がりトイレへ向ったのだ。




「・・出血?」