固まっていたあたしの両手を

取り・・真剣に向き合うのだ。



「私が来たからには、

もー、大丈夫!

一緒にガンバりましょ? ねっ?」



やだ・・

母上ったら何で涙ぐんでるん?



「・・・・はいっ。」



目を白黒させながらも

思わず良いお返事をしてしまう。


ポカーンとしてたあたしの肩、

笑ってぽんぽん叩いたりした。


・・・神足さんは一体、

どんなマジックを使ったんだ?



「で、あの子は?」


「ああ・・今、挨拶の菓子折を

買いに行って貰ってます。」


「・・そうね、良い事だわ。」



なぜかこの時、

一瞬だけど母上は目を丸くした。

こんな都会でもせめて

両隣に挨拶ぐらいしなくては。



「婚姻届は?」

「え? いえ、まだ__」


「はー!? まだ?

何やってんだろ、あのバカ!」



カチャン___



玄関から開錠の音。

ああ、何てタイミングだ。



「ただいま・・来てたン、」

「コラッ! アンタねっ・・!?」



始まった・・。

今だ母親に叱られる

カリスマ・フロントマン。


耳に指1本突っ込みながら

"ウルサイなァ"

みたいに片目を瞑ってる。



「ナギ、今だったら

誰か居るみたいだ。行こ。」



口を一文字に結んだまま

苦笑いであたしの肩を誘った。



「・・待ちなさい!

母さんも行くからっ。」


「いいよ、来なくて。」


「おだまりっ。」



結局着いて来ちゃうこの強引さ。


なるほど・・、

ここからの遺伝子か。