夜の十時に自分の娘が

友達でもないコを

家に連れて来たと知ったら・・。

母親は何て云うだろう。



「ナーギ! 拾った。」



は?

今、このコ、

ナギって云うた・・?



「お帰りー。次はナニ、

拾って来たんだァー? 

もー、猫はカンベンし・・、」




エプロンした男の人が。




「・・・・ナギちゃん。」

「ヨウちゃん・・?」




呆然と立つ2人の間で彼女は


「ホラネ」


って、あたしの手を引いて

玄関を上がろうとする。



「兎に角、上がんなさいよ。

随分濡れちゃって・・ほら。」



タオルを2人に手渡すと、

リビングに通された。



「ルウ! カレー食べるだろ?」

「ウン、食べる。」

「ナギちゃんも食べな?」

「あ・・戴きます。」



頭を拭きながら彼女は

別の部屋にあたしを連れて行く。


2人の寝室に飾られた写真。


ずっと前に、

あたしと神足さん、そして

ヨウちゃんの3人で撮ったもの。


その中のあたしを指差して、


「コレでしょ?」


と、目をくるくるさせた。



あ・・彼女の目の色、

ブルー・グレーなんて・・。

カラコンじゃなく、天然。

ハーフか・・どうりで綺麗だ。



「ルウ? 早いトコ、

ナギちゃんと一緒に

着替えないとダメだよぅ。」



「OK、じゃコレ。」

「ありがとう・・。」



2人で着替えてリビングに

戻るとエプロンを外した

ヨウちゃんも席に座ってた。



「ルウは凄いなー、

写真のナギちゃんの顔

憶えてるなんてさー。」