「ねえ、ヨウジロウさん」


「・・前から云おうと

思ってたけど、

"ヨウちゃん"でいいよ。」


「じゃー、ヨウちゃん。」


「オウ、いいねえ。

で、なーに??

何でも答えちゃうよ。」


「・・彼女、いるん?」


「いるよ。モデルやってて

滅多帰って来ないけどさ。」


「へぇー、じゃ綺麗な人?」


「個性的だよね。」


「えー、どんな人やろ?」


「人間嫌いの野良猫かな。」


「・・そうなんや、なんか

対照的やな、ヨウちゃんと。」


「よく言われんだよねー。」


「ウワ。・・悪気ないから。」


「ははっ、解ってるよン。」


「でもなんとなく解る・・

その彼女。ミステリアスで

自ら壁を張ってる様な人?」


「なーんで解るの?」

「神足さんみたいなタイプ。」



「俺、云っとくけどノーマルよ?」

「でなきゃ困るっちゅうの。」



・・その夜、

神足がシャワーを浴びている間

束の間の、寝床トーク。


ヨウちゃんは向こうのソファ、

あたしは彼のベッドの上。


小っさい灯りの元、

お互い眠いのを我慢して・・

こんな会話になっていた。



「ヨウちゃんはな・・人の壁を

外側からガンガンガンっ!って

崩して、瓦礫を踏み越えてさ、

何気にその人の隣でニコニコと

座ってそうなタイプやから。」


「ぶわはは!! それ俺? 」

「ウン」

「片手にでっかいハンマーとか

持ってたり? 危ない奴じゃん。」



口当たりは優しいが、叱る時は

ちゃんと叱ってくれる。

トモダチの彼女の・・あたしにも。




「いつかさ・・あたしがこんな事

云うてたって・・彼女に話したって。」


「ふふっ、帰って来たら直ぐにでも

云っちゃいそうだよ、俺。」



だってホンマに・・

この人は心地よいから。




____ 神足さんには

とてもいい、友達がいる。