「何か食べる?」

「うん」


彼女の背中に手をやり、

そちらの方へと歩いて行った。


焼きたてのシュラスコや

チリビーンズを皿に入れて貰い、

部屋の隅っこのイスに座る。



「少しチーズがあって良かった」

「うん・・・・?」



向こうの席が何やら騒がしい。

ナギはそっちに目をとられ、

上の空で返事をしてた。



「神足さん、あれ_____

ヨウジロウさんじゃ・・?」


「え? まさか・・。」



小田ヨウジロウはけして

絡む様な酒の飲み方はしない。


どちらかと言えば彼は昔から

俺を止めて来た方だ。


でも・・、肩を掴まれてる?


「ざけんな! 俺らのベースに

何の文句があるってんだよ!」


「やめなよ、銀ちゃん・・!

俺がアドバイスして貰っただけ

なんだから・・! 頼むよ・・!」



ありゃ昼間、

ナギをナンパしてた男だ。


そうと解れば

俺も黙っちゃいない。


ちゃんと行って、

思わず割り入って手を放させた。



「くだらねえから止せって」


「おっ、ナンだよ、やんのか?

色男の登場かよ・・! ハッ!」


「ダメだよ、ゴオ君・・!

米キャンじゃないんだよ!?」


「止めてよ、銀ちゃん!!」




止めに入った筈が、一発触発。

互いに試合前のファイター

みたいにもう顔スレスレだった。



「オイ、ニィちゃん。」


「アア!? あ・・。」



「さっきから

黙って聞いとったらのう・・、

ソラお前の勘違いとちゃうんけ。」



「お前って・・俺かぁ!?」


「アァ!?

他に誰がおるっちゅうんじゃ、

このアホンダラ!」