そんな彼女を

ソファに腰掛けて

冷静に見つめ続けていた。

そんな俺を無視できなくて

こちらへと歩み寄って来る。



「あたしは

何処にも行かへんから・・。」


「・・・うん。」



"おいで"と

手を伸ばすと自然と繋がる手。


ソファに引き寄せると

背中から絡まり出す。

それ以上何も云わず、

ただ腕の中に彼女を抱いて。



「ん・・・・、」



首筋をゆっくりと這出だす唇に

ぶるっと体を震わせ、声を殺す。

片手をワンピースのジッパーに

掛けた途端、

体を撥ねて逃れようとした。



「まだ・・昼過ぎやん・・。」



俺の顔も見ず・・

明らかに言い訳をする。



「嫌ならもうしない・・

ナギ! あぶな・・!」



ゴン・・、ガシャッ。



ソファから慌ててバスルームの

方向を向いた彼女が左側の花瓶

置きのミニ・テーブルに足を

ぶつけて花瓶を割ってしまった。