彼女が産婦人科で何か

薬を貰って


「生理不順やから」


と、毎日欠かさず

飲んでいるのは知っていた。


生理不順の人はデキ難いと

聞いた事ぐらいあるが・・。


子供云々の事に関して

辛い目に合って来ただろうし、

迂闊なことは聞けない。



「あーあ。折角、時間掛けて

屋久島に来たのに森に

行かれへんなんてショック。」



カフェでの

ウッドデッキで食べる朝食を

目の前に、ナギはボヤいてた。



「足元が危ないから

目が治ったらまたね。」


「また、連れて来てくれるん?」

「次はナギのオゴリで」

「ええー! そうなんー?」


「フフ、嘘。」

「もー・・。フフ。」



お前がそうやって

笑ってくれるんなら

俺は何でもするかもしれないな。


都会の喧騒も

すっかり忘れられる

この青い空の下、潮風を感じ

ながら一緒に居られるなんて。


3日前の事は

悪夢だったに違いない、

なんて・・思えてくる。


だけど実際に目の前に居る

ナギの左目はその視界を

狭める程にまだ腫れていて。