俺がそう呟いた一時間後、

俺達は

着替えだけをカバンに詰めて

空港へと向った。


鹿児島行きに乗る為に。



「スケジュール上、

二泊三日だ。」



事務所に電話して直ぐ

確認を取った。

そしてちゃっかり、

そのコネとやらも借りた。


今やチケット要らずの時代に

ナギは高所恐怖症の飛行機嫌い。


搭乗するまでがタイヘンだ。

手に汗、額に汗、

首にまで冷や汗。


そしてまた小型機に乗る時は

揺れるたんびに目をつむり、

俺の手を握り返したりしてる。


正直、

彼女を見てると退屈しない。


着いた頃には

陽はとっくに落ちていた。

タクシーを降りたままの場所で

2人驚いて

口をポカンと開けてる。


田舎だとばかり思っていたから

まさか、こんな洒落た

リゾートホテルが建っていようとは。



「すごーい・・。」



リゾートホテルの

デラックス・スウィートなんかに

泊まるのはいつ振りだろうな?


部屋も広く

窓の向こう側に海も見えた。


「いいトコだね」

「うん」


窓辺に立つ彼女を

後ろから抱いて

そこに在る、

自然の音だけに耳を傾ける。


不思議な空間、

不思議な空気、

そしてその不思議にも溶け込む

ナギと云う女。


会話なんて無意味だった。

彼女の名前さえ呼べれば

それで良かった・・。


どんなに想っているかなんて

まだ半分も

伝えられてはいない気がして

俺はそんな

歯痒さをずっと抱いてる。



「ナギ・・。」



その夜、俺達がムード満点の

キャンドルの灯り、

天蓋つきのベッドで

たっぷり

愛し合ったのは云うまでもない。