勿論、一般人であるナギだって

オンナジでポカンとしてた。



「大丈夫、行こう。」

「え、うん・・。」



まあ、彼らが着いて来るのも

気にもせず

ナギを腕に庇いながら

手を取って車に乗せ、

運転席のドアを開けようとした。



「いろいろ、

おありだった訳ですけど

彼女の御加減はいかがですか?」



タイミングよく、優しく上品に

訊ねてきた女性リポーターから

差し向けられたマイク。



「ええ、

何とか・・回復に向ってます。」



何となく、いつも

新聞の勧誘を断れずに取って

しまう自分と重ねてしまった。


チラリと彼女の方を見遣ると、

軽く会釈をしてるのでつい笑う。



・・だぁっ、

そういう俺を撮るんじゃねえ!



「心配して頂いて、ね。ホント、

申し訳ない。・・・それじゃ。」



ウンウン軽く小さく頷き、



"もういいでしょ?"


と目配せして切上げた。

それでも十分だ。



知る人ぞ知る、

"インタビュアー泣かせ"と

云われた、

俺の一言で満足して貰える筈。


ウチに帰るとマンション前でも

同じ様な状態で

困った事になってる。


辛うじて部屋には戻れたが、

気分的にクタクタだった・・。




「少し逃げるか」