結構な重量があって

それ自体、直径7~8cmはある。



何が起こったのか

解らないぐらいあっと言う間で

大きな悲鳴も出なかったのだ。

此処へは自ら歩いて来たらしい。



「どーしょう・・

ママになんて云おう・・。」


トラブル続きで・・

彼女がふと疲れを垣間見せる。



「心配いらないから」










・・・神足さんは肩を抱いて

そう云い、待合のソファまで

連れて行ってくれた。



「小野原さん」



フイに診察の方から声が掛かる。

かなりふっくらしたドクターが

やるせない溜息を付くものの、

その顔を少し緩ませていた。



「不幸中の幸いだったね、

当たり所がズレてたんだ。」



覚悟はしていたが、眼球に

傷は見当たらなかったそうだ。

ただ明日も

見せに来る様に言われた。



「災難でしたね」



病院に来た警察の人達は

そう声を掛けてきた。

意外と若い2人で

彼の事を知っていた様だ。


"またアンタか。"


そう言われるのを私は恐れたが

知らないのか、

それは言わずにいてくれた。




「これは・・・・ヒドイな」




眼帯からはみ出る程の、

私の目の

膨らみに彼らは同情を寄せる。



「ではまた連絡します。」

「お願いします。」



治療も調書も終えた帰り道、

一緒にママのマンションに

立ち寄って貰う。

この顔を見せれば

長期休暇はやむを得ない。


そして戻った車の中で本当の

一番の心配事を彼に訊ねた。




「警察を呼んで、良かったん?」


「・・ファンであろうが、

なかろうが、彼女らは人を

傷付けた。当たり前だよ。」


「うん・・・。」



翌朝、2人で朝食の

後片付けをしている最中に

家の電話が鳴った。


神足さんが電話を取ると、

私を振り返る。



「・・・そうですか。」