「お店近くの

ササクラ救急病院・・。」



やっと言葉を発したナギ。

ビーッと鼻水をかんだらしい、

派手ないい音がした。



「直ぐ行くから ____ 」



そう云いながら

もう走り出していた。

ナビで出すまでもない、

緑色の光を放つ、

大きな看板が直ぐ目に留まる。



時間外の静かなその病院に

駆け付けつけると、

ナギは検査の真っ最中だった。


訊ねたナースに言われ

その検査室前で待とうとする。



「今日は、たまたま眼科の

先生が当直で良かったですね。」


「眼科・・・?」



バタン



「・・・・。」



"なんだ、あれは"



我が目を疑う。



検査から出てきたナギは

眼帯も着けておらず

無防備にも

その左目は剥き出しで・・

ここからでも

ハッキリ解るぐらい蒼く・・。

それこそ漫画みたいに

パンパンに膨れ上がっていた。



「あ・・・」



彼女の顔を見て俺は

ふらふらと立ち上がっていた。



一体何があったのかと。

怒りで頭痛がする・・!



「ナギ・・・!」



声を掛けられた彼女が

慌てて覆い隠そうとした手を

静かに払い除け、ただ立ち竦む。




( 許せない、酷すぎんだろ・・! )




恐る恐る、

ナギの変わり果てた顔を

上向きに震える手で・・

そっと覆った。




( 縛り付けてでも・・
    
止めりゃ良かった・・! )




涙の溜まった

俺の目に気付いたのか

その手を取って降ろさせるのだ。




「大丈夫、もう痛くないから」




また泣くのを我慢して・・

唇を噛んで・・、


ナギの表情はとても

複雑なものになっていた・・。