しばらく私は図書館で黙々と勉強をしていた。
明日から明後日までテストがあるから頑張らなきゃな。
数学、英語、現代文、ライティング、
化学、生物。高校に入ってからまともに
勉強なんてしてなかったけど、
夏休み前だし頑張らなきゃ。
数時間経って、私は図書館を後にした。
さて、家に帰ろうかな。
公園の横を通りかかったその時、
「ねぇ、また会ったね。」
後ろから声がした。確かこの声は。
振り返るとそこには、こうちゃんの次の相手の
達波高校の相沢兄弟二人が立っていた。
嘘でしょ、逃げなきゃ。
逃げようとすると、相沢兄弟は私を
挟み撃ちにして笑う。
驚いて尻もちをつく私。
「何やってんの、お前。ほら、立てよ!」
相沢兄弟の一人が私に手を差し伸べる。
この人はお兄さんの方かな?
ゆっくりと手を掴むと、体を持ち上げてくれた。
礼を言おうとすると、二人が笑った。
「俺、啓介。兄!」
「弟!悠介だ。お前は?」
なんだか、この二人人なつっこい。
気のせいなのかな?
てか、何で私の名前聞かれるわけ?
「柳原…優愛、です。」
苦笑いしながら笑う私に、相沢兄弟は
私の顔を覗き込む。
クンクンと匂いを嗅がれる。
え、何何?動揺していると
パッと離れて二人は目を合わせたあと
私の方に目線を向けた。
「「お前、いい匂いするな!」」
え、どういう意味?
「今度の試合で俺らが勝ったら、俺たちの世話係になれよ!」
なれよって何で命令口調なわけ?

