「へぇー」
「潰しがいがあるじゃん。」
ニヤリと笑う相沢兄弟。
けれど、そのあとの試合は
前半が終わるまでこうちゃん達が
二点差まで登りつめた。
相沢兄弟達がこうちゃん達と同じく
汗だくになってきた。
前半が終わり、選手達は水分補給。
こうちゃん達は水分補給をしながら
輪になって話し合い。
相沢兄弟達がその光景を遠くから見つめる。
「先輩、後半はどうしたらいいっすか?」
「そうだな。お前らいけるか?」
「「えー!?無理っすよ!!勘弁してくださいよー!!」」
部員達がハモるのを見てこうちゃんと中川先輩は笑う。
じゃあ、俺らが行くか。
こうちゃんがそう言うと
中川先輩は相沢兄弟の方を見ながら
あぁ。そう呟いた。
「それでは後半試合を始めます。」
審判員の声に選手達は
それぞれに整列し礼をする。
位置に着き互いに睨み合う瀬川高校と達波高校。
試合開始のベルが鳴ると一斉に試合が始まった。
相沢兄弟の兄、啓介がドリブルしながら
ゴールに向かう。啓介の横にべったりと着く
瀬川高校の部員。
啓介はそれを見てニヤリと笑い、
猛ダッシュをする。
「俺を止められるかな?」
笑いながらゴールへ向かい
ゴールの真下に着くとシュートを決めようとする。
それをブロックする中川先輩。
けれど、啓介はニヤリとまた笑った。
「残念でした♪」
シュッ 啓介は後ろにパスをする。
パスされた方を見ると、悠介がいた。
啓介からのパスを受け取ると
ダンクシュートを決める。
ボールが虚しくも床に転がり落ちた。
達波高校にまたしても点が入る。
こうちゃん達が谷口との試合の時に使った
ノールックパス。それを相沢兄弟達が使うなんて…
あの時のこうちゃんと中川先輩みたいに。
ふと、こうちゃんを見ると驚かずに
じっとボールだけを見つめていた。
部員が投げるボールをこうちゃんが
受け取るとすぐに素早い速さで
次々と達波高校の部員を抜かす。
そして相沢兄弟の弟、悠介の前まで来ると
こうちゃんは中川先輩にすぐに
ボールをパスする。
中川先輩がボールを受け取ると
ボールを部員に回す。
次々とゴールまでパスを連続するこうちゃん達。
そしてあっという間にゴールが決まった。
相沢兄弟や達波高校の部員たちが
唖然と瀬川高校の部員たちを見つめていた。

