cocoa 下



 そして、時が過ぎとうとうテスト最終日。 
 なんだか緊張気味だったけど、なんとか書けた。
 思ったより前回よりは書けた気がする。
 こうちゃんは書けたのかな?
 ふと、教卓に目線をやると桃が黙々と問題を解いていた。
 あのあとから、桃に中川先輩の事は聞かずに
 いつも通り気軽に話をしていた。
 こうちゃんと中川先輩とで
 四人で帰ったりした。
 中学校に寄り体育館を借りて
 中学生と練習をする二人。
 なんだか、この状況に慣れてきて
 中川先輩を見ても何も思わなくなってきた。
 これがいいんだよね。


 土曜日。
 今日はこうちゃん達のバスケの試合だ。
 こうちゃんはなんとか成績がよくて
 試合に出ることができた。
 試合は午後からだったから
 部活が終わってすぐに駆けつけた。
 桃も今日は一日部活だ。
 一人はなんだか心細いな。そう思っていると
 観客席に見覚えのある姿があった。


「谷口くん!」


 谷口は振り向く。近寄る私。
 前回こうちゃん達と闘って、卑怯な手を使って
 こうちゃんを潰そうとしていた悪役人の人だった。
 過去形なのは、こうちゃんと試合をしていて
 最後に自分の本当のプレーに気付いて全力で
 こうちゃんと闘ったからかな。
 谷口のしたことは、皆許せなかったけど
 あの後から谷口は自力でプレーするようになったという。
 よかったね、こうちゃん。 


「柳原か、久しぶりだな。まぁ、座れよ。」


 谷口に言われるままに隣に腰掛ける私。
 本当雰囲気変わったなぁ。


「なんだよ?」


「嫌、別に。」


 睨まれて慌てて目をそらす私。
 谷口はそれを見て笑う。つられて私も笑う。
 私と谷口がそんな事をしている間に
 こうちゃん達と達波高校達が整列をしていた。
 あ、始まる。体を起こして、こうちゃんを見る。
 よかった、緊張してないみたい。


「でも、谷口くんが来るなんて思ってなかった。」


「んだよ、来んなって事?じゃあ帰るわ。」


 ため息をつく谷口に慌てて手を横に振る。
 違うよ!必死にそう言うとまた笑う谷口。
 冗談だっつーの、笑っている谷口を見て
 苦笑いする私。私からかわれてる。
 こうちゃん達と達波高校は互いに礼をする。


「…達波高校か。やべぇな、あいつら。」


 谷口の言葉に、私は谷口の方を見る。
 理由を聞こうとしたけど、すぐに
 谷口は言葉を出した。


「俺ら新城高校は去年の秋、あいつらに負けたんだ。」