私は話した。 この平凡さに嫌気がさしているということを。 貴は、笑った。 儚く笑った。 俺も昔はそう思っていたよ、と呟きながら。 貴は偶然通り掛かったタクシーに私を無理矢理乗せて家に帰らせた。 お金は貴が払った。 いつもここにいるから会いたきゃまた会いに来ればいい、と言ってさよならした。 家族は私の深夜徘徊には気付いていないようだった。