鏡に映るのは、 まだ春樹のことなんか 知らなかった頃の私だった。 「完全に取れてる、 ウォータープルーフとか 嘘じゃん」 道理で健吾のカッターシャツは 薄黒いはずだ。 「あたし、やっぱり男に 生まれれば良かったなー」 「なんで?」 「そしたら春樹ともずっと 仲良くいられたし 化粧もしなくていいからね」 「俺は みつきが女で 良かったって、思ってるよ」 健吾はこの時 どんな気持ちで言ったのかな。 見つめる先の健吾の横顔。 金色の短髪が夕陽に照らされて 綺麗だった。 .