日が暮れ始めた。 「…ありがと、健吾 すっきりした!」 「おう…でも、これはないな」 そう言って健吾は カッターシャツの襟ぐりを 掴みながら意地悪そうに笑った。 「びちょびちょじゃん ごめん!あはは」 ハンカチで拭いてみても あまり状況は変わらなかった。 「全然だめだな、全然乾かないや しかも黒いの付いてるし ほんっとごめん!」 「もういいよ ほっときゃ乾くだろ つか、おまえ顔戻ってんぞ」 健吾は私の目元を指で 拭いながら笑う。 でも優しい笑顔で なんとなく心地よかった。 .