【知希side】


 消えかけた、大切な記憶がある。
 俺の双子の妹が双子の妹となった日で、好きな人が出来た日の記憶。


『凪紗チャンよ。今日からうちの家族。』
 そう言って、母さんが紹介したのは同じ年のタレ目が特徴的な可愛い女の子。
『かぞく…』
『そう。仲良くするのよ。』
 母さんが優しく背を押して俺の前に出させた女の子はおどおどしながらも
『…よろしく』
 淡く笑ってそう言った。

 俺はその笑顔に、恋をした。