ネコ彼。(完)

 

「――…あと、旅ってのは実家に帰ってたんだ。今回は長く捕まってたけど、今日は絶対帰らないとって、昨日無理矢理出てきた。……もれなく、姉貴がついてきたんだけど」


「………」


「……まぁ、こんな風になったけど。…もう、過ぎたしな」


哲平が公園の時計を見て、苦笑いする。


―――え…うそ…。


「……覚えて…るの?ちょうど1年って…」


哲平は覚えてるはずないって…。


哲平は私の心の中を読み取るように、クッと笑った。


「忘れるわけない。あんな告白」


―――うっ…。


忘れ去りたいほど、恥ずかしい記憶だ。


「―――オレのこと、信じる?」


私の目をじっと見る哲平。


少し緊張した表情だった。


こんな哲平の顔、見たことない。


そんな表情されて、信じるな、っていう方が無理だよ。