ネコ彼。(完)

 

「……これ、何?」


紙袋を差し出して、言う。


私の声に哲平は顔を上げる。


じっと私の目を見たまま、答える。


「……首輪。」


「え?」


そんなの売ってたっけ?


目を丸くした私を見て、哲平はクスッと笑った。


「みちるは捕まえとかないと、すぐどっか行っちゃいそうだからな。……って思って」


「………」


どっかに行っちゃいそうなのは、哲平でしょ?


「……かなり焦った。別れるなんて言うから。このままずっと一緒にいるものだと思ってたし」


「………っ」


そんな風に思っててくれたの…?


初めて聞く気持ちに胸がいっぱいになる。