ネコ彼。(完)

 

公園の中にふと目を向ける。


ベンチに座る人影に、私は目を見張る。


―――!


それは見慣れたシルエットだった。


「……哲平」


こんなに近くにいたの…?


「―――…」


心臓が高鳴る。


ちょうど1年前、哲平に告白した日のことを思い出した。


あの時も哲平の元に行く直前は、こんな風にドキドキしたな…。


あの時と同じだ。


深呼吸をして、私はベンチに向かってゆっくりと歩き出す。


哲平の目の前に辿り着く。


哲平の身体がピクッと、少しだけ揺れた。


私だと気付いたみたいだ。