――私はただひたすら走っていた。 哲平の行きそうなところ。 駅?コンビニ?家? どこにいるの? 哲平が行きそうな場所なんて、ほとんど知らない。 哲平が住んでる家の場所さえ、よく知らないし。 1年も一緒にいたのに、私、哲平のこと、何も知らないんだ。 もっといろいろ聞けばよかった。 もっと想いを伝えればよかった。 あなたのことが好きだから、あなたのこと知りたいんだよって。 「てっぺ…っ」 哲平には届かない自分の声が、虚しく感じた。 息が苦しい。