ネコ彼。(完)

 

そっと、紙袋の中を覗く。


「―――…」


見たことのあるロゴ。


ずっと憧れているロゴ。


「なん、で…?」


私が大好きなアクセサリー店のロゴが書かれた袋だった。


「……うそ」


何でここにあるの?


……『意味なくなったけど、オレ持ってても仕方ない』……


出ていく直前に哲平が呟いた言葉を思い出す。


これ、哲平が…?


……もしかして、私に?


都合のいい解釈かも知れないけど…少しだけ、光が見えた気がした。


「……行かなきゃ」


哲平のところに。


私はそれを持って、部屋を飛び出した。