哲平が会いにきてくれたことが、すごく嬉しいのに…
複雑な気持ちで心の中が埋め尽くされる。
「長い散歩、だったね?」
ほんの少しだけ、嫌みを含めて言う。
「あーうん。ちょっと旅に出てた」
「……そう」
――旅行?
誰と?
「―――」
「―――」
よくわからない沈黙が私たちの間に流れる。
一瞬の差だったのかもしれない。
先に沈黙を破り、言葉を発したのは私。
「―――…ねぇ」
「ん?」
「……最近、誰と一緒にいたの?」
「―― 一人だけど?……なに?もしかして、変なこと考えてる?」
哲平が珍しく怪訝な顔をした。
いつも飄々としてるのに、感情を表した気がした。
それは図星ってこと?
触れられたくないことでもあるの?

