ネコ彼。(完)

 

――――…


メールの返事も来ないまま、特別な日になった。


そんな今日も、あと30分で終わる。


「あーあ…今日も帰らず…かぁ」


はぁ~、と長いため息をつく。


昨日見てしまった哲平と女の人が仲良さそうにしている姿が、頭の中をぐるぐると回る。


ホントにあの人のところが一番になっちゃったのかな…。


私はベッドの上で膝を抱えて座り、哲平へのプレゼントを指でつつく。


そんなのやだよ…。


鼻がツンとして、涙が出そうになる。


「はぁぁ~…」


膝を抱え込んで縮こまり、2度目の深いため息をついた時だった。


微かに聞こえる、ドアを叩く音。


「!」


私は玄関に目を向ける。


いつも、哲平が来る時の音だ。


「……哲平?」


私は玄関に向かい、ドアを開ける。


そこには、哲平の姿。


「入れて?」


いつものように言い、哲平は笑った。