ネコ彼。(完)

 

明日は、哲平の誕生日。


そして、哲平は絶対に覚えてないと思うけど…付き合い始めて丸一年。


明日くらいは、顔が見たい。


声が聞きたい。


そう考えただけで、哲平に会いたい気持ちが強くなった。


こんなに哲平不足だったってこと、今頃気付くなんて…。


――――よし。


私は携帯の画面に向かった。


哲平にめったにしないメールを打つ。


打っては消し…


打っては消し…の繰り返し。


15分かけて打った文章は、結局、一言だけだった。


『明日会えないかな?』


普通の女の子だったら、もっとかわいく打てるんだろうけど…これが限界。


送信ボタンを押す瞬間が一番緊張する。


覚悟を決める。


――――えい!送信!


『送信中』の文字をじっと見つめる。


「…………………ふぅ」


『送信完了』の文字に、私は息を吐いた。


「………よし。帰ろ」


私は立ち上がり、家路についた。