涙の理由を、君は知らない


変わりそうな信号を二人で小走りで渡ると、横断歩道と歩道の微妙な段差に躓きそうになった。


「…っ!! ……わたしの知らない段差があった…」

ひやりとしながら呟くと、

「コケても他人のふりするからね」


と意地悪に笑う彼。

あれ、さっきの紳士はどこに行ったのですか。


「うー、薄情ものー」

「いや、俺が助けられる範囲だったら勿論助けるけど、お前の行動いつも予想外なんだもん」


私が不満をいうと、彼は笑いながらそう返した。

私、そんな想定外な女じゃないと思うんだけど。

むしろ、君の手の平の上で、ごろごろ転がされてる気がします。


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