涙の理由を、君は知らない


カップル繋ぎをしてもイマイチしっくりこなくて、彼の手が、ぐーにした私の手を包むようにする。


「こっちのほうがいいわ」

「そう?」


呟いた彼に返すと、ぎゅう、っと力を込められた。


「怖くてこれ以上力込められない」

「折れたりしないってば」


彼の言葉に笑う。

むしろ、痛いくらい、君の力を感じていたい。


初めて手を繋いだのが、去年のこのくらいの時期に、二人で動物園に行った時だから、一年前から、私たちは何も進んでいない。

そういえばその時も、こんな会話をしていた。


きっと、言い出す機会は今まで何度もあったのに、私も、彼も、何も言わず、ずるずるとここまで来てしまった。


曖昧なわたしたち。


彼は、私の気持ちに気付いてる筈なのに。


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