涙の理由を、君は知らない


そんな話をしていると、いつの間にかバスが来る時間になっていた。

いや、むしろ時間過ぎてる?


「……バス、34分って言ってなかった?」


私が乗りたいバスが来る気配はない。

「そのはずなんだけど……」


二人で時刻表を確認する。


「………ねぇ、言っていい?」

「……………どうぞ」

「平日の時刻表見てた」

てへ、なんてかわいこぶっても許されない。
彼は、大きなため息ひとつ。

「……おーまーえぇーーー」

「うー、ごめんなさーい!」


土日祝日のバスはあと20分後。

二人でまたベンチに戻る。


「……ごめんなさい」

「…まー、女の子一人この寒空に放置するわけにはいかないから、一緒に待ちますけどね」

呆れつつも彼が言う。
紳士さは何処までも健在です。

私はいつも彼を困らせてばかりだ、と申し訳無さでいっぱいになる。
でも、あと20分彼といれると分かって、内心嬉しくも思っていた。


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