涙の理由を、君は知らない


「次、バスいつ?」

彼が、バス乗り場を見つけて時刻表を見ている私に聞く。

「えーっと、私が乗りたいのは20時34分」

「うわ、あと30分もあんじゃん。どっか入って待ちます?」

「んー、でも30分だとバス逃しちゃいそうだよね」


そんな話をして、結局近くの自販機で飲み物を買って、バス乗り場付近のベンチで待つことにした。

「私ミルクティーにするー」

「俺ホットレモン」

「ホットレモンて」


相変わらず、なんか可愛いですね、全く。

ガコン、と音を立てて自販機から彼のホットレモンが吐き出される。
彼が自転車を引いていたから、私がしゃがんで取り出す。

「あ、さんきゅー」

「あったかーい」

彼にホットレモンを渡さないで、そのままベンチに向かう。


「くれないのね」

苦笑いする彼。

「超あったかーい」

左手には自分のミルクティー。
右手には彼のホットレモン。

「超さむーい」

不満げな彼の手に、彼のホットレモンをぴたりとくっつける。

「あったけぇな」

呟く彼。


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