涙の理由を、君は知らない


お会計を済ませ、再びエスカレーターで階下に降りる。


「寄ってきます?」

彼が、エスカレーターから見えた別のお店を指して言ってくれた。

「うん!」


一応目的は済ませたものの、このまま帰ってしまうのはちょっと勿体ないな、と思っていたから、即答した。




「このお店のPOP好き〜」

「むしろこの店POPが売りみたいなもんじゃね?」

本屋とも雑貨屋ともつかない、おもちゃ箱をひっくり返したかのようにごちゃついた店内を回りながら、彼と話す。



ここでも、彼は私がお店の商品にぶつからないように肩を軽く掴んで誘導をしてくれる。ふらふら歩いててすみません。

肩に手を置いたそのまま、彼が肩もみをするみたいに私の肩をぎゅっぎゅーとする。

肩に、彼の指の感触が伝わる。

ぞわりと、背中が痺れる。

そういう不意打ち、死んじゃうから、マジでやめてほんと。


「…っ、くすぐったいぃー」


動揺を悟られないように笑って見上げると、彼も笑って手を離した。


なんて、心臓に悪い。



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