涙の理由を、君は知らない


「くまのがっこうって、可愛いと思うんだ」


キャラクターもののグッズのあるコーナーで、くまのキャラクターを手に取って言う。

あんまりキャラクターものは好きじゃないけど、このくまはなんか可愛くて好きだ。


「くま?」


「うん、このストラップにしよっかな」


男の子と女の子の種類違いの物をふたつ手に取る。


「ふたつ?」

「あ、お母さんとお父さんにお揃いで買おうかと思って」


お母さんへの誕生日プレゼントだけど、きっとそっちの方が喜ぶ。

「そっか、君の両親仲いいもんね」

「未だに手繋いで寝てますからね」


私が笑うと、彼はいーなー、と呟いた。

「うちの両親じゃ有り得ねぇよ」

「とかいいつつ、なんだかんだで仲良いんじゃない?」

「んなことはない」


そう言った彼の横顔は、少し寂しそうだった。
彼がよく幸せな家庭をつくりたいと言っているのは、少なからず両親の影響があるのかもしれない。


「よし、じゃあこれ買ってくる!」

「いっておいで」


彼は優しく私を送り出す。


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