涙の理由を、君は知らない


この駅ビルにある本屋さんには初めて来た。
学校の友達の言っていた通り、確かに本の種類が豊富だった。

奥には普通の本屋さんでは置いてないような難しそうな専門書もあるようだった。



「次、どうします?」


ひとしきり本屋さんを見たあと、彼が聞く。まさかこれだけで帰るつもりはありません。


「んーとね、2月にお母さん誕生日だから、何か買って行きたいの」


「そっかーじゃあ、下のお店とか他の店も回ろっか」


「うん!」


嫌がる素振りも見せずに、さらっと計画を立ててエスコート。素敵です。


またエスカレーターに細心の注意で乗り、女性向けの雑貨屋や服飾店の並ぶ階に降りる。


「俺、この階初めて来るかも」

「あー、そっかー女の人向けだもんねー」


他の女の子と来たことは無いのね、と心の中で一安心。



お店を回っていると、途中で、彼が、

「やべえ、暑い」

と、おもむろに制服を脱ぎ始めた。
確かに暖房ちょっときついかも。

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