涙の理由を、君は知らない


「あのね、炊飯器とかみてた! 凄かった! あと、電子レンジとか見てた! 凄かった!」


私が感想を言うと、


「小学生並の感想だな」


彼は呆れたように笑って言った。


話すのに夢中になってて、エスカレーターの段差と段差の間の上に足をのせてしまい、思わずよろける。


「うわ、エスカレーター乗るのヘッタクソ」


彼が笑う。


「い、今のは足元不注意でだね、いつもはもっと、」

「気付いてないからいうけど、さっき電器屋に行く時のエスカレーターも、微妙にうまく降りれてなかったからね」

「え、うそ」

「ほんと」


にやり、笑う彼。

指摘されるまで、自分では完璧にエスカレーター乗りこなしてると思ってた。


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