「お、おはようございます。
瀬納さん。」


「...遅い。
待ちくたびれた。」


そう不機嫌そうに言う彼は
声とは裏腹に
私に抱きついている暖かい腕を
もっと絞めてきて。


「く、苦しいから離してください。」


「いや。」


怒っているなら放っておけばいいのに。

なのに彼は
不機嫌な声のまま抱きしめる。


「怒ってるなら謝りますから!」


「...は?」


「来るの遅いし昨日殴ったから
怒ってるんですよね!
本当にすみませんでした!」


なんでか力の抜けた腕からするりと抜け
深く頭を下げ謝る。



「これで許されるわけないけど
とりあえず謝りたくて。
酷いことしてごめんなさい!
常識知らずはわた「別にいい。」


「...へ?」


「気にしなくていい。
ちゃんとこれからも来てくれるなら
それで十分だから。」


早く家入れ。

そう言って瀬納さんは
ガラス戸を入っていっちゃって。


「あ...はい!」


本当に怒ってないのかな?


ならいいんだけどな...