でも俺が気づいたのはそんなのぢゃなくて
歩道橋の真ん中ら辺。
傘も差さず佇んでいる1人の女の子。
おかげで彼女は全身ずぶ濡れ。
俺はその子に色を感じた。
濡れたおかげで体に張り付いている白いワンピースも
柔らかそうな栗色の長い髪の毛も。
全部綺麗だと思った。
顔は見えない。
それは彼女が俯いているから。
栗色の綺麗な髪に覆われているから。
でもきっと彼女は
泣いている。
栗色の髪の隙間から見える口元。
歯を食いしばっていた。
白いワンピースを纏っている細っそりした肩は不規則に揺れていた。
多分、嗚咽だろう。
