「ハル~。ちょっと聞いてよぉ!!」




夏休み間近のある高校。

最早、クーラーが意味を成してない教室。

自習なので休み時間のように五月蝿い。



...この高校に授業なんてないと思う。

この高校で授業なんてしたことない。

登校すれば卒業できるという有り得ない高校。

気楽であたしは好きだ。





そんな学校の一応あたしのクラスだと思われる教室の一番窓側の席の一番後ろ。

特等席としか言いようが無い席。

そんなあたしの席に親友の琴音がやって来た。




「ん?どーしたの?」




「どーしたも、こーしたも...澪が女を切ってるらしいのよ!」




「...へ?」





あぁ...確か琴音。

学校でプレイボーイと有名な澪のセフレやってるんだっけ...。

あたしはそんなの反対した。

体だけの関係なんて傷つくだけだって。

でも琴音は澪のコトが好きらしい。

あっちに恋愛感情がないのを知ってて、自分のコトを好きにならないって知ってて、澪と関係を作った。

琴音はそれで満足らしい。




恋愛の形は人それぞれと言う。

全くその通りだ。




第三者が首を突っ込むのは良くない。




「...だーかーら!!澪が女、んぐっ!」





「琴!声でかいっ」




勢いのまま叫びそうになった琴音の口を押さえる。