俺らのクラスの...2-Bの下駄箱には先客がいた。

思わず言葉を呑みこむ。



先客は俺らの存在に気づいたようでコッチに振り返った。




「・・・。」




「「・・・。」」





気まずい。

非常に気まずい。




そこにいたのは、さっきのケバイ女。

向こうもこの気まずさに顔を顰めている様子。





「涼、帰るか。」




「おう」





おっとー、涼さん。

顔が変わってるらっしゃるよ。

綺麗な顔が台無しですよ。

んなに睨まなくても、もうあの女はビンタしねぇって。




無言で横を通り過ぎる。

思えば俺も涼も上履きなんてもん持って無い。

だから必然的にスニーカーで校舎に入っている。

学校の門を出てから気づく。




「俺らあそこ行かなくても別によかったぢゃんかよ~」




「は?澪がわざわざ下駄箱の方に行くから付いて行ったんぢゃんかよ」




"俺は何か用事でもあんのかと思ってたわ"



と付け足す涼。

なわけあるかよ。

下駄箱に用事ってどんなだし。



何気なく携帯から下駄箱に視線を向ける。

そこにはケバイ女がまだいた。



そしてもう1人違う女がいた。

でも距離が遠すぎて顔が全然分かんない。

ケバイ女と区別出来たのは小さい身長のおかげだ。

ケバイ女と比べたら随分小柄だな。





まぁ興味は無いけど。





「澪?行こうぜ」




気づけば涼は既に歩き出していた。

ちょっと、早ぇぢゃねぇの。




「待ってー」




下駄箱から視線を逸らし、また携帯に視線を落としながら涼を追った。