「だりぃ」




6月の梅雨、真っ盛り。

空を覆っている分厚い雲とザーザーと止まない雨のおかげでいつもの街は、色を無くしている。




欲しかったCDを求めて店に行き、その店を出ればこの有様。

傘を持ってきて正解だったな。

纏わりつく、ねっとりとした生温かい空気の中を

俺は傘を差しながら、色を無くした街を不機嫌に歩いていた。





「...まじかよ」





横断歩道を渡ろうとした。

じゃないと家に帰れねぇから。

けど、

週末とか、雨のせいで車はありえないくらい渋滞してた。

渡ろうとしてた横断歩道は、どっかの車の下敷きになっていた。



これって法律とかに触れねぇの?

道路渡れねぇぢゃんかよ。



心の中で悪態をつく。




ふと、何気なく横を見る。



...運がいいのか何なのか。

そこには歩道橋があった。




あんなところに歩道橋なんてあったっけな。





...あぁ、あったあった。

小学校の時は使ってたけど、

歳をとるに連れて使わなくなり、存在さえ忘れかけていた。